Life and Pages

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映画 聖の青春

ずっと一人で自分と向き合ってきた人なのだと思った。
村山聖は実在の棋士。あの羽生名人を何度も追い詰め、29歳で夭折した天才棋士の実話だ。幼いころにネフローゼになり、最後は膀胱がんがもとで短く太い生涯を閉じる。生命の欠片と引き換えに一局一局を戦ってきた。羽生は将棋以外は何もしないが、村山は麻雀を打ち、少女漫画を愛していた。彼にはどんな景色が見えていたのだろう。羽生が一緒に行こうと言った、思考の海の底にはどんな世界が広がっているのだろう。
生きることとは何なのだろうと言われた気がした。一日一日を自分が定めた目標に向かって、本当に命を削って一歩一歩進んでいく。そうした人にしか見えない景色。それが人生というものなのだろう。
それにしても、この映画は、将棋の対局場面など地味な映像だけでよく映画に仕上げたものだと感心した。

聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)