Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

容疑者Xの献身

東野圭吾氏の本を読んだのは初めてだった。TVドラマで福山雅治がやっていたガリレオと関連があるようなことは知っていた。天才物理学者が謎解きをするということはわかっていたので、主人公の湯浅学の声が福山雅治の声になった。ストーリーは、母と娘が暮らすアパートの部屋に別れた元夫が、復縁を迫りながら、金の無心にやってくる。娘が撃退しようと頭を殴り、そのせいで暴力をふるおうとする男に、母が背後からコードで首を締め上げた。それを隣室に住む男が、隠蔽に協力を申し出る。その男、石神は高校の数学教師で母に想いを寄せていた。かつては将来を嘱望された数学者だった男は、完璧なアリバイ工作をする。その工作に気付いたのは、かつて大学で同期生だった湯浅だけだった。そして、そのトリックを読者に明かした後、もう一度、ドンデン返しがある。思考マシーン石神はついに感情を露わにする。
緻密なトリックは、その精密さだけでなく、人間心理も考慮し、さらに柔軟な発想で仕掛けられていく。なかなかおもしろい。テレビを見ておけばよかったな、と思った。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)