Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

翻訳という仕事

昨年12月に亡くなられた小鷹信光氏が49歳の年に出版された本だ。ヒントになることがたくさん載っていて、ご自身は翻訳専業ではないから、というのだけれど、翻訳という仕事にとても愛情があったということが読み取れる。それにしても、出版業界の状況というものは、あまり変わっていないのだなあと驚く。ますます悪くなっていることは間違いないが、がらりと変わったという状況は(まだ)起きていないようだ。ゆっくりと衰退している最中なのかもしれない。
翻訳専業ではないというのは、小鷹さんの矜持でもあり、稼ぐためのアドバイスでもあったように思える。それでも、軸となるのは、アメリカのミステリーを深く読んで、背景となる文化や出来事を調べ上げ、日本語に翻訳するということだったと思う。翻訳を学ぶことの重要性を再認識させてもらった。ありがとうございました。

翻訳という仕事 (ちくま文庫)

翻訳という仕事 (ちくま文庫)