Life and Pages

本や映画、音楽について書いています

フェイスオフ

短編のミステリーは綿密に伏線を張る紙幅もなく、中途半端な終わり方をするものが少なくない。本屋さんが選ぶ賞を受賞した作品でも、私には納得のいかない終わり方をしていて落胆した。日本の読者にはすっきりとした収束はあまり重要ではないのだなあと発見したものだった。
ここにおさめられた短編は、二人の作家がそれぞれの主人公を登場させながら、事件を解決していく。もちろんゆっくりと伏線を張っていられないのだが、納得のいく収束と読後感を与えてくれた。キャラが立っていて、短い紙面の中でも、ダブルキャスト二人の(四人の場合もある)ジャブの応酬が愉しい。しっかりとキャラクターが命を持っているからできる技だろう。
こういう試みは悪くない。かつてルパン対ホームズと言う作品もあったが、あれはルパンをかいた作家が一人で書いたもので、コナン・ドイルは関わっていない。こうした共作は技術的にも難しいが、それ以上に著作権などの問題をクリアするのが難しいのだろう。この本が実現したのは、全員が国際スリラー作家協会に所属しており、協会の運営費を捻出するために、これらの作品を書いて権利を協会に託したからだ。こうした方法は日本でもできると思うのだが。

フェイスオフ 対決 (集英社文庫)

フェイスオフ 対決 (集英社文庫)