Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

ふたつめのボールのようなことば。

シティボーイズの大好きな演目の一つに、「瓶蓋ジャム」というのがある。なぜかわからないが、ジャムの瓶の蓋の裏についたひとかたまりはとても美味しく感じる。なので、その瓶の蓋の裏についたジャムをこそいで、一瓶に集めたのが瓶蓋ジャムだから、これはとてつもなく美味しいのである、というお話。この本を読んでいてそのストーリーを思い出したのだった。これは糸井重里が毎年一冊、絞り出す言葉集の3年分の中からさらに選び抜いた言葉がまとめてある。まさに糸井さんの言葉の瓶蓋ジャムなのである。どこかで一度読んだ言葉ばかりのはずなのに、初めて読むような気にさせるものがある。手になじんだ、まさにボールのように、自分の思考の一部となっているものもある。そして大半は、一度読んだ覚えはあるけれど。再度読んでまた頷くような言葉なのだ。それもまた楽しい。同じ本を読み返すことは、そんなにないのだけれど、安心してもう一度読みたい本というのは珍しいしとても嬉しい存在だ。