Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

たぶん、おそらく、きっとね

1967年当時のバンドマンの話だ。戦後から抜け出し、自由業ともいえるキャバレーのバンドマンたちの日常は、時代と言うよりも若さゆえの不安を内包している。そして大きく変化していくための伏線が日常の描写の中にある。それまでの人生を、大きく変えるきっかけは思いつきのようなことなのだ。ここには真実がある。自分で自分の人生を引き受けた人物ばかりが出てくる小説をリアリティがないというのなら、それは時代性に対しての批判でも、日本人に対しての批判でもない。自分で考えて生きるということを選び取らなかった自分のつまらない世界観を擁護しようとしているだけなのだ。
優しい言葉で淡々と日常を描いているような、いつもの片岡さんの小説を読むたびに自分の立ち位置を問い直すのは、自分に自信がないからなのだとわかっている。

たぶん、おそらく、きっとね (novella*1200)

たぶん、おそらく、きっとね (novella*1200)