Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

映画 チャイルド44

以前読んだ本が映画化され、試写会に行ってきた。映画は面白かった、良くできている。だか゜、文庫本2冊分の長編をぎゅっと集約したので、「走った」感があった。ひとつ、残念だったのは、スパイだと疑われた獣医が、MGBに疑われたら最後、殺されるとわかっているから、必死で逃亡をする場面がある。原作では、大雪原を延々と追いかけ、最後は追う方も追われる方も冷たい川でもみ合い、ついには捕まる。殺された方がましだ、という恐怖を表す大切なシーンだ。映画では、それが草原での追跡劇となり、主人公の残虐さ、タフさが伝え切れていないように感じた。
主人公の印象は原作とは違うが、トム・ハーディも良かった。最初から嫌な野郎感が出ていて、リアルさを増している。原作の主人公は、最初はくそまじめな執行者だ。日本の中間管理職の真面目さを連装した。
映画はとても良かった。そう思う一方で、あの長編のページを割くことで伝わる怖さや寒さや切なさがあるのだと感じた。

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)