Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

獣たちの墓

この前観た映画「誘拐の掟」の原作本で、ハードカバーだと430ページを越える長編だ。映画とは少し違っているが、この本の世界観は良くできていた。そして、この本も様々なサイドストーリーを巧妙に配し、キャラクターを上手に創りあげている。上手なストーリーテラーだ。かつてアル中だった主人公(アル中になった原因もまた長い話があるのだが)が、この小説の中でも変化していく。パートナーもまた変化していく。そして卑劣な犯人さえ、人間の魂を垣間見せる。平板な登場人物などいないのだ。それはNYという街のせいだろうか?いや。人間に対する洞察の深さだろう。ミステリー作家とカテゴライズされていても、人間を描いている作家なのだ。だから面白い。