帯のコピーによれば「谷川俊太郎が、一夜で綴り、松本大洋が、二年かけて描いた。」という。死について、考える時間をくれる、あるいは死について考えていた頃のことを思い出させる絵本だけれど、悲しさよりも、人が死ぬことによって、その人がいた場所が空白になる、そのことの重さを持った感情が届いたのか、生まれたのか、じわりとやってきた。私も小学四年生の時に祖父が死に、その時初めて、死ということをじっくり考えてみた。何の変哲もなかった日常に欠落が生まれ、人間の命のはかなさを知った。死者の冷たい身体に触れたし、生きていることの不思議さを感じた。誰もがいつか必ず死ぬという事実を実感することは、どんな宗教の説教よりも、一人の人間としての自分を省みさせてくれる。
死について、時々、思うことは悪くない。自分のちっぽけさを知ることは、良く生きることとまっすぐにつながっている。
- 作者: 谷川俊太郎,松本大洋,糸井重里
- 出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所
- 発売日: 2014/01/24
- メディア: ハードカバー
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