Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

私は写真機

最近は写真集を発表することも多い片岡さんの新刊。「曇った日をリアルだとすると、晴れた日は、それを外からとらえる自分の問題として、リアリティだった、と言ってみようか。リアルが現実そのものなら、リアリティとは、自分がとらえる現実、というものだ」という冒頭の文章中の言葉に、すでに心がつかまえられる。作家が何を見ているのか、ということは作品の文章の中から読み取るしかないのだが、こうして片岡さんの撮った写真を連続して見ていくと、小説の世界に通じる、世の中を見るときの距離感を感じる。この眼が見る世界は、そのまま、片岡さんの小説の世界だ。文章をいじくり回すのではなく、自分の見た者、想像したものをそのまま書いていくことが彼の小説の世界なのだと思う。とても好きな世界=リアリティだ。

私は写真機

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