Life and Pages

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映画終戦のエンペラー

新しい視点から描いた映画だなあと思った。戦闘や爆撃のシーンをなくし、廃墟となった東京を見せることで、感情的な反戦の主張にならず、311後の光景と重なって見えた。運命に翻弄されながらも、あの景色から立ち上がる、日本人の力はどこから生まれてきたのだろうか。ストーリーについては、天皇のお人柄を良く描いていたと思うが、フェラーズ准将は、いささかセンチメンタルすぎてはいないだろうか。吉田茂を描かずに済ませたことで、ストーリーをシンプルにしたという以上に、歴史の一部しか語れない構造になってはいないだろうか。関屋貞三郎枢密顧問官とフェラーズの関係だけがクローズアップされている。お孫さんの奈良橋陽子さんがプロデューサーとしてだけでなく、脚本にもで関与したということはあまり伝えられていない。ハリウッド映画を見るときに、批評精神をなくす癖は日本のメディアに顕在である。
http://www.emperor-movie.jp/