Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

土屋耕一のことばの遊び場。

コピーライターの大先輩の文章をまとめた本である。しかも糸井さんと和田誠さんが編んだ本が一冊ずつ、二分册の本である。これは面白いに決まっている。私にとって土屋さんは、伊勢丹やサンヨーコートなどの、からりとしていて、主張があって、どこか落語のような物腰のコピーを書く、才能あふれるコピーライターであった。ある時、回文の達人でもあることを知り、その著作を読んで、一時はまったことがあった。ダンディな土屋さんとポップな糸井さんと思っていたが、この本を通じて、糸井さんは土屋さんの薫陶を受けたコピーライターなんだなあと再認識した。土屋さんが手がけた広告は、どれも遊び心を忘れていないし、コピーライターとして、プロの広告作家として、芸を見せてくれている。その芸を楽しむには教養が必要だから、土屋さんが作っていたような広告がなくなったのは、宣伝部と読者の質が落ちたからだろう。いや広告の作り手もおしなべて質が落ちたのだな、きっと。
で、回文について書かれた文章を読むと、またやってみようかと思う自分が面白い。ちょっとやってみたよ、さっそくね。ここには書かないけれど。