Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

映画レ・ミゼラブル

映画だけど、文学ということで、書いておこう。ミュージカルを映画にする試みは、すでにいくつもある。オペラ座の怪人の映画化は良かったな。シカゴは、映画もブロードウェイもそれぞれ良いところがあって、どちらも、とても良かった。ママミーアは、舞台の方が良かった。ロード・オブ・ザ・リングは、映画を舞台にしたものだったけれど、2007年にロンドンで観たのはすばらしかった。もちろん、映画はサイコーだった。さて、レ・ミゼラブルは舞台を観たことがないから、比較しようがないけれど、かなり舞台に忠実なのだろうと思った。もともとかなり長い小説をミュージカルの歌に載せて、ぐいぐいとストーリーを進めて行く。その速度に、途中ちょっと戸惑ってしまったけれど、スケールの大きなシーンに心を動かされた。冒頭の囚人が座礁した船をドックに引き入れるシーンのスケール感は圧巻だ。ジャン・バルジャンの苦境、ファンテーヌの絶望、テナルディエの卑小、ABCの若者たちの愚直。こうしたストレートな人間性の発露は、舞台が持つ特長に違いない。神父に出会って、改心する主人公の一生を描きながらも、あまり宗教くさくなっていないところがとても良かった。そして、ジャベールの忠勤さは、会社員や公務員の自由なき真面目さに見えて、それが日本の会社員の勤勉な姿と重なって見えて切なかった。彼の一生を支えてきたロジックでは、バルジャンの大きな世界観、人生観を理解することはできなかったのは仕方ないことだと思った。
http://www.lesmiserables-movie.jp/