創作の文章は、人それぞれ、何でもありですよね、と言うことができる性質のものだと思う。けれど、アメリカの大学ではクリエイティブライティングという講座があるし、日本でも、カルチャースクールで教えられている。井上ひさしは、本当にすごいと思う。丁寧に生徒さんの文章を読んで、適切な言葉で、アドバイスを与えている。ここに集った生徒さんたちは、岩手の一関の市民の皆さんである。ことさら作家になりたいという人たちではない。だが、井上ひさしの言葉、適切で、温かく、誠実な、その言葉に触れて、一人一人が自分だけの物語を書き始める。人間にとって、言葉の持つ役割の大きさを感じさせてくれる。そもそも私は、原稿用紙の使い方を学ぶならと(知っているのだけれど、あえて)、手に取った本だった。作家の書くものは、その作家の人柄なのだと実感する、とても素敵な一冊だった。
- 作者: 井上ひさし,文学の蔵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/12/26
- メディア: 文庫
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