Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

薬物依存症

先月、とんねるずのタカの番組で話す清原を観た。なんだかほっとした。それで、この本を読むことにした。 球界のスーパースターは孤独だったと思う。そして、野球を辞めてからは自分の中にぽっかりと空いた穴を何をやっても埋めることができず、クスリに手を…

値上げのためのマーケティング戦略

マーケティングの本なのだが、価格設定を中心に書かれているのが特徴的だ。日本の企業は価格決めが下手だという指摘にはいきなり納得する。牛丼やさんや居酒屋の低価格競争のおかげで、消費者としては大変助かっているのだが、提供する側は儲けが少なく、苦…

Boy From Woods

以前読んだハーラン・コーベン著の「Run Away」の続編。NYの辣腕弁護士へスター・クリムスタインが活躍するシリーズだ。 最初のシーンは1986年4月、ニュージャージー州の森の中から6~8歳の少年が発見された新聞記事から始まる。そして舞台は2020年の4月、34…

一人称単数

村上さんの新作短編集。いくつかは月刊誌の連載時に読んでいたが、こうしてまとまった本を読むのはまた楽しい。大学生の頃からそうなのだが、村上春樹の小説を読んでいると自分でも物語を書きたくなってくる。今回はどれも面白かったが「品川猿の告白」のよ…

映画 ハリーの災難

1955年の作品。舞台のような展開の映画だ。 森の中に男が倒れている。死んでいるようだ。とおりかかった少年が見つけ、駆けだしていく。次にライフルをもった男がやってきて、自分が撃ったのだと思い、隠そうとする。 そこに婦人がやってくる。死体を見ても…

名著から学ぶ創作入門

この本の原題は「愛しきものを殺せ=Murder Your Darlimgs」と知り、読んでみた。著者は創作を教えることもしている作家。さまざまな文章の書き方についての本を分類しながら紹介する、参考書の参考書。有名な作家からジャーナリスト、劇作家、脚本家などの文…

人生の目的の見つけ方

このようなタイトルの本は苦手なのだが、著者が知り合いの知り合いくらいの方で、面白い講義を大学でされていると聞いていたので、Kindleセールで買って読んでみた。 まっすぐな人なのだと思った。落ち込むとどこまでも落ち込んでしまうのだが、人の話を聞い…

アメリカの鱒釣り

不思議な47の物語。鱒釣りの話なのだが、釣りの話ではない。「アメリカの鱒釣り」という概念や言葉や不思議な存在に関する物語だ。「アメリカの鱒釣りちんちくりん」とは何のことだ。ポストモダンと言われて、なるほどと思った。そういうことか。学生の頃に…

体の贈り物

私は今日もリックの部屋に出かけていく。いつも何か欲しいものはないかと電話で聞いてから出かけていく。今日は何もいらないから手ぶらで早く来て、という。急いで部屋につくと、彼はうずくまって動けなくなっていた。すでに電話をして医者に連れて行っても…

NHKテレビ よみがえるオードリー・ヘップバーン

ハリウッドのメークアップアーチストとして、2度のオスカーに輝いたカズ・ヒロ。 彼は理不尽なことの多い映画界を離れ、現代アートの世界に転身した。彼が作るのは人間の頭部。リンカーン、ジミ・ヘンドリックス、フリーダ・カーロ、アンディ・ウォーホール…

言語化力

考えを言葉にする能力に関しては、私もまあそこそこあると思っている。なので、とてもいいテーマの本だなと思いながら、この手の本には手を伸ばさないことの方が多い。他人に聞くまでもないわ、と妙なところでプライドのようなものが出てしまうのだろう。そ…

2020年6月30日にまたここで会おう

この著者は、元マッキンゼーで、投資家で、京大の先生で、若者たちをやたら煽る人だなと思っていて以前にも著作を読んでいた。そして2019年に突然亡くなられたことも知っていた。で、このタイトルの本がでたので、これもうこの日時までに読むしかないではな…

映画 日々是好日

ずっと観たかった映画をようやく録画で観た。コロナの、こんな時期に観てよかったと思う。お話はごく普通の、したいことが何かわからない女子大生が、ふとしたことで茶道教室に通うことになるところから始まる。あ、その前に小学生の頃に両親に連れられてフ…

雨は五分後にやんで

同人誌というわりにはしっかりとしたハードカバーの短編集で19人が作品を寄せている。小説からエッセイ、漫画とかいろいろだ。小説も歴史を題材にしたものからSFまで、いろんなタイプがあって、共通しているのは「五分」という言葉や要素をどこかにいれてあ…

彼らを書く

彼らとは、ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーのことだ。彼らを映像で捉えたDVDやブルーレイなどを片岡義男が鑑賞し解説する。市販されているものばかりだから誰もが観られる。だが、同じことを読み取れるかというと、まったく足下にも…

映画 ちはやふる

3部作を一気に観た。少女漫画が原作で、主人公の女の子が、その幼なじみの男友だち二人と一緒に競技カルタを遊びながら学び、途中で一人の男の子が引っ越ししてしまい、ばらばらになってしまう。それぞれが高校に入り、高校カルタ部として日本一を目指す話だ…

閑話休題 3色ボールペン

「ここに3色ポールペン落ちていませんでしたか」と隣のテーブルに座っているお客さんに女性が尋ねる。少し前まで、その席に座っていたそうだ。わたしはコーヒーを手に、ちょうど席に着こうとしていた。その人が困っているようなので、念のためにと思って自分…

こころと脳の対話

「そこをわきまえていないと、そういう(精神)分析の話をしてみんなを喜ばせているうちに、そういう気になってくるんです。だから怖いのは、カウンセラーで、講演が上手になる人はみんなだめになります」P196 精神分析をしていると、犯人像などについてコメン…

20歳の自分に受けさせたい文章講義

文章読本はたくさん出版されていて、わたしもすでに何冊も読んでいるだが、著者名を見て気になるとついつい買ってしまう。今回は、ネパールについての文章を書いていた古賀さんの本だ。嫌われる勇気というベストセラーも書かれている。 いきなり引き込まれた…

ネット ネパールでぼくらは。

ほぼ日に昨年連載された、ネパール紀行の記録。膨大な数の写真と文章に圧倒される。カメラマンと作家、ライターなど、それぞれの人が自分の眼で見て、自分で体験したことを文章と写真で伝えてくれる。とても新しい形式だし、webというメディアをとても上手に…

月の沙漠をさばさばと

さきちゃんとお母さんの12の短いおはなしの連作集。小学三年生のさきちゃんのお母さんはお話を作る仕事をしていて、さきちゃんは寝るまえにふとんに入ってからお母さんに話をしてほしいとせがむ。お母さんは「この話に出てくるのは誰だと思う?」と問いかけ、…

業界破壊企業

サブタイトルは「第二のGAFAを狙う革新者たち」。業界にイノベーションを起こした、あるいは起こしつつある新興企業を紹介している。プラットフォームによるイノベーション、ビジネスモデルによるイノベーション、テクノロジーによるイノベーション、3つの切…

コミックス作家 川村リリカ

片岡義男の新作。主人公は20代の女性のコミックス作家だ。漫画家とは違って、 コミックスに文章を組み合わせてストーリーを綴るスタイルだ。 自画像に近い裸の女性の絵を描くのが得意で、とてもエロいのだという。やはり20代の女性編集者は彼女の描く作品を…

テレビ 仁

おっと、このブログを一ヵ月も書いてなかったことに自分でも驚いた。この自粛ムードの中で本を読むよりもこつこつと翻訳と外出しなくていい仕事を続けていた結果だ。 テレビドラマの仁の再放送をまとめて観た。三週連続で土曜と日曜の2時から5時まで連続放送…

ザリガニの鳴くところ

タイトルに惹かれたのと、わたしのまわりでとても評判がよかったので読んでみた。約500ページ。読みごたえのある本でとても面白かった。 ノースカロライナ州の湿地で村の青年の死体が発見される。人々は「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。カイアは…

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

以前このブログでも書いた本なのだが、再度読み返してみた。一度読んだときはとても真似できそうにないコトばかりだと思ったのだが、今回は心に残る言葉が多かった。「すべての仕事は必ずやり直しになる」「その問題とこの問題は独立している」「アイデアを…

ドラえもん0巻

朝日新聞の三谷幸喜のコラムを読んで、ドラえもんの単行本を買う。これは、「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」それぞれの、ドラえもんの第1回がまとめて掲載されている。ドラえもんがのび太の家にやって来る回…

ナルト

ようやく全72巻を読み終える。スケールの大きい物語だった。結論は垣間見えていたから、最終回はそれほど驚きはない。途中でなんども、よくぞここまで引っ張ったな、と感じる回があった。それでも、最後まで読み通し、なんだか達成感を感じる。久しぶりにこ…

ぼくは翻訳についてこう考えています

柴田元幸氏が翻訳について書いたこと、語ったことを100点抜粋した本。アフォリズム集のようでもある。なるほどとうなずき、そうすればいいのかとメモし、深いなあとかみしめる。この本もまた、時々読み返す必要のある本だ。 論考の中に、間違っている英語を…

なんで僕に聞くんだろう。

写真家の幡野広志さんのもとに届く人生相談に、幡野さんが答えていく本だ。言葉の切れ味がすばらしい。私も文章を書くときは、できるだけ誤解が少なくなるような言葉を選んで書いているつもりだが、この本の文章の切れ味は恐ろしいほどだ。私の文章はナイフ…