Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

TV総集編 半分、青い。

話題のドラマだったが観たことがなかった。で、年末の総集編を録画しておいて、ようやく観ることができた。というのも、奥歯を抜いてきたせいで、ずきずきと痛みがあり、集中力が続かないので、予定を放棄して、録画鑑賞にはしることにした。

案外面白かった。朝の連続テレビドラマであるから、きっとハッピーエンドだと思っていて、まあ、その通りだったのだが、設定、キャラクター、エピソードが少女マンガのようにわかりやすくて派手で、今時のドラマはわかりやすさがキーワードなのだと再認識した。そして、豪華俳優陣を揃えたこと。大河ドラマもそうだけれど、それほどドラマ好きでもない私でも知っている顔ぶれが勢揃いしていて、力の入れ方がよくわかる。これが二つ目のヒットのためのキーワードだ。

それでも、ドラマを観ながら自分のことを重ね合わせる場面もあり、こんなやつはいねえよと思いながらもこれはこうあって欲しいという作者の願いが込められているのだなととか、いろいろ考えながら観ていた。現実的ではない妄想要素を入れることが、3番目のキーワードだ。緻密さはないが、上手にいろいろな要素を盛り込んだドラマで、評判になった理由もわかった。

www.nhk.or.jp

TV NHKスペシャル「女7人おひとりさま みんなで一緒に暮らしたら」

年末に録画した番組を観た。71歳から83歳の女性たち7人が同じマンションにそれぞれ一人ずつ暮らし、時々集まって話したり、緊急時はSOSコールをしあう仲で、個を尊重しながらゆるい共生を続けて10年経ったという。結婚したことがある人もそうでない人もいるが、みんなアナウンサー、コピーライター、カウンセラー、大手企業広報など、ずっと仕事をしてきたということが共通点だ。10年経って、お一人は病気になり、今はリハビリ施設で暮らす。一つの理想の暮らしに思えたが、コミュニティのメンバーが年齢を重ねるにつれて体力気力に衰えが見えはじめ、変化の兆しが現れてきた。

実はこうしたコミュニティのアイディアを初めて聞いたのは30年以上前、大学に通っていた頃だ。日本文学の教授が自立した女性同士の共同生活を始めようと思っていると言っていたのだ。それ以来、そのアイディアのことはずっと頭の片隅にあった。

このコミュニティがうまくいってくれることを願いながら、いつかこの続編を番組にしてほしい。

語学力ゼロで8ヵ国語翻訳できるナゾ

 

 

 

この人が書いていることは明解だ。「翻訳とは『ある言語で表現された文章を他の言語で表現する』行為の総称であって、それ以上でもそれ以下でもない。」としていて、そのためにどうするかということを柔軟に考えて実行する。英語力とは何かについてもあいまいなままにせず、明解に答えてくれる。問題解決型思考の実践者である。

映画 エリック・クラプトン─12小節の人生─

クラプトンの半生を写真やDVDやコンサート映像やTV番組など少ない素材をなんとか繋げて、激動の人生を綴った映画だ。日本にはあまり報じられていない、家にこもってドラッグ浸けの生活をしていた4年の日々や、その後の泥酔しながらコンサートをしては失言を繰り返す時代も描かれていた。そして、最愛の息子の死とそこからアンプラングドを経て立ち直るまでの日々もについても描かれていた。よく生き残ったなあと思う。

母親の愛を知らず、その愛を必死で求めたが、しだいに他人を信じられなくなり、ドラッグと酒に溺れていく。一番上手いミュージシャンを集めて結成した理想のバンド、クリームはアグレッシブだっただけで、デレクアンドドミノスの方が良かったと言う。ジョージの妻に横恋慕して、一緒になったパティとは、自分のものになったとたんに、二人の仲はうまくいかなくなる。理想を描いていた自分のイメージが現実をはるかに超越したものになっているのだろうか。

しかし音楽に対する愛情は本物だった。常に新しい音楽を求めて進化していくクラプトン。その音楽の才能に嫉妬した神様が、彼の運命にいたずらをしたのかもしれない。

ミック・ジャガージョージ・ハリスンジョン・レノンキース・リチャーズB.B.キングなど懐かしいスターの顔ぶれをみるだけでも楽しい映画だった。

ericclaptonmovie.jp

対談 小説を書くということ。

webの記事なのだけれど、しかも昨年読んでいる記事なのだけれど、このタイミングでこの記事を読んだみとについて、記録をしておこうと思った。

例えば輪廻転生のお話でも、
輪廻転生を徹底的にリアリズムで書いていったら、
ないことになります。
だけど「あったらいいだろうな」という心があって、
「ない」ことを証明する部分を
書かなかったらどうなるか。
上手に小骨を抜くように、
レリーフを浮きあがらせたら、
輪廻転生があるような世界が見えてくるわけですよ。

この話は凄いなと思った。わたしは現実と異次元がすっとつながっているような話が好きだ。村上春樹とか、内田百閒とか。そうした小説を書きたいとも思っているのだが、こんなふうにそのやり口を書かれてしまった。これは糸井さんの発言だ。

ところが、
「なかったものを見つけたい人」というのは、
世の中にそんなにいない。
パリに行けばエッフェル塔を見て
「来てよかった」と思う人が多数であるように。

作家佐藤正午を評して、糸井重里はこういうのである。わたしもなかったものを見つけたい一派にぜひとも参加したい。

最近思ったんですけど、
ぼくは書くことより書き直すほうが
だんぜん得意なんです。

佐藤正午はこう言い切る。わたしもコピーライターという職業をしてきたので、書き直すとこは好きだが、こんなにまっすぐ得意と言い切れるだろうか。

ぼくはいちど書きあげたものを、
「読者」として読んで、
気に入らない部分を書き直したりして
楽しんでいるのかもしれないです。

作家というものの真実を垣間見た気がした。

www.1101.com

メモの魔力

話題の本を読んでみた。著者はとにかくファクトをメモとして記録し、それを抽象化(普遍化)して、他の分野に応用できないか、と考える。メモをとって終わりではなく、アイデアのきっかけにしていくまでの一連の思考をしようという提案だ。

メモを取る人は少なくない、というより、とても多いだろう。わたしもメモをとる。ただ、習慣になっていないから、メモをとれないことがある。ところがこの著者は歯を磨くように、当然のようにメモをとり続け、それをもとに世の中を、自分自身を分析する。自己分析のために、1000の質問に答え、その分量はノート30冊になったというからものすごい。

メモしなきゃ覚えておけないのはたいしたアイデアじゃないから忘れていい、というよくきく言葉には反対する。なぜなら、ファクトも創造力も問題解決には必要だから、メモは意味があるという。わたしも同意する。新しいことを言っているわけではないが、過剰なほどのメモの量とそれが生き方になっていることが著者のユニークさを形成しているのだ。

 

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

 

 

表現の技術

電通のCDの高崎さんの本だ。面識はないが、どんな仕事をしてきたかは知っている。題名の通り、CMなどの表現についての技術的な解説をしている本だが、CMを作ってきた方法で映画を構成する方法について書いているところはなかなか圧巻だ。実際、映画も撮っている。

CMを企画するときなど、たとえ15秒CMであっても登場人物の性格や生い立ちといった背景もしっかり作り込めとはよく言われてきたし、ある程度やってきたと思っていた。が、ここまで徹底的にやるのか、と驚いた。なるほど。負けました、勉強になりました、と言って本を閉じるわけにはいかない。もう一度、読み直して、実践したいと思う。

 

表現の技術 (中公文庫)

表現の技術 (中公文庫)